INTERVIEW

MIT-VFJ理事長 會田 隆太郎 氏

MIT-VFJ6代目理事長の、會田 隆太郎氏に、ご自身とMIT-VFJとの関わり、MIT-VFJの活動などについてお話をお伺いしました。

ベンチャーキャピタルとご自身との関わりなどをお話しいただけますか。

會田
私は、MITのスローン(ビジネススクール)の卒業生で、ベンチャーキャピタル、ベンチャー振興に対して関心がありました。卒業後日本に帰国して、MIT-VFJに携わる機会があり、3年前に理事長を拝命しました。 本業は投資ファンドの日本の代表、経営コンサルタントです。経営コンサルタントの仕事では、ベンチャーのアドバイスをしたり、スタートアップを組織的な運営に整えるためのCFO、COOを引き受けることもあります。本業と、ベンチャーキャピタル、ベンチャー振興は、直接の関連性はないのですが、手法は同じものがあると思っています。

ワインがお好きで、それがお仕事にも繋がったとお聞きしました。

會田
はい、コンサルティングの中にワインのインポーターもあり、元々ワインが好きで、趣味が高じて仕事になっています。

MIT-VFJと出会った経緯を教えてください。

會田
私は、MIT在学中、MIT本校にあった『50K』というビジネスプランコンテストの運営ボランティアをしていました。日本人の存在は珍しかったので、当時NHKが取材に来たことがあります。その後、日本にも同様の趣旨の組織MIT-VFJができたことを知り、うまくいくといいなと思っていました。帰国後、MIT-VFJの運営ボランティアが不足していると聞き、理事になりました。(※注 理事メンバーは全てボランティアで活動しています)

MIT-VFJという組織は、社会にどのような役割を果たしているとお考えでしょうか。

會田
MIT-VFJは、日本でのアントレプレナーシップの醸成をキーワードとし、20年活動してきました。当初は、まだ日本にはこのような活動をしているところはなかったのです。しかし、今は増えてきましたね。ベンチャー、スタートアップに関するものがとても増え、例えば、東大生がベンチャーを立ち上げたりもしている時代になりました。一定数の団体・イベントが増えてきたことについては、MIT-VFJが先駆けて活動してきた意義を感じます。

MIT-VFJは、今後どうあるべきとお考えでしょうか。

會田
これまで培ってきた財産を有機的に結合したいと思っています。BPCC(ビジネスプランニングコンテスト&クリニック)、2021年よりVMP(ベンチャーメンタリングプログラム)に変更しましたが、20年以上にわたる入賞者は数百人います。しかし、今まではその年が終了すると、ファイナリストとMIT-VFJとの関わりがなくなっていくことが少なくありませんでした。もう1つの車輪であるメンター陣も、ファイナリストとの関わりが継続できていないことがありました。今後は、その方たちを財産として、有機的に結合したいと考えています。 ファイナリストが、VMP終了後もMIT-VFJコミュニティの一員として関わっていける、学びの場を作りたと考えています。また、先輩としての、後続のファイナリストの支援ができるようにもしていきたいですね。メンターは、過去に関わったファイナリストやそのアイデアが大きく成長した後も、また別の方法で関わることができるようにしていけたらと思います。MIT-VFJに関わる人たちの、フィードバックと学びのループを作りたいのです。そのためには、現在MIT-VFJ内にあるファイナリストクラブ(歴代のファイナリストが所属する会)、メンタリング研究会(メンター陣が所属する会)、ポータルアーカイブ(歴代のBPCC・VMPの資料や、定例セミナーの動画などの資料集)をエコシステムとして構築していきたいと考えています。

MIT-VFJにおいて達成したいと思っているゴールは何でしょうか。

會田
私はMITらしさをもっと追求したいと考えています。MITの学校としてのミッションは『世界をよりよくする』というものです。テクノロジー、マネジメント、サイエンスをそのために使うのです。そう考えていくと、MIT-VFJは、日本における世界を変えるためのベンチャー振興を担うものだと思っています。また、現在は、ドメスティックビジネスの応募が多くなっていますが、MITらしさ…テクノロジー・サイエンス系の色を濃くしたいとも思います。 さらに、会員やファイナリストなどをMITへお連れし、MITの風を感じていただきたいと考えています。他国、特にアジアのMITネットワークとも交流、連携できたら良いですね。つまり、他の団体ではできないことを行っていきたいのです。しかし、今はそれができるタレント、リソースが不足しています。それができるようなスタッフを育てるのも必要です。 また、こういったコンテストやベンチャーメンタリングプログラムは、優秀な応募者がいないと、尻すぼみになってしまう。良いタレントが集まらなければ、次に繋がらないことが懸念されます。将来性あふれるタレントにどんどん応募してほしいと願っています。

MITへの進学希望の学生の支援もしているとお聞きしました。

會田
MIT同窓生が、ボランティアで『教育委員会』という組織を作っています。MITへの進学を目指す日本人高校生の面談を行っています。日本発の優秀な方たちに、MITに進学してもらい、世界を変えるようになってほしい…そう願って私も時間を投資して協力しています。

VMP(ベンチャーメンタリングプログラム)に応募したい方、起業したい方へのメッセージをお願いします。

會田
MITのミッションは『世界をよりよくする』こと、つまりは利他主義です。自分の人生を世のために使う志を持つ方に応募してほしいと思っています。

會田 隆太郎 プロフィール

日本MIT会理事・アルムナイ担当
経営コンサルティング、M&Aアドバイザリーを経て、その後現在までの14年間PE投資に従事。現在アジア向けのPE投資ファンドにて日本向け投資を担当。 様々な業界における数多くの投資案件のスクリーニングを実行。投資後は単なる経営管理にとどまらず、企業再生などよりハンズオンな経営関与を行うことも多く、CFOやCROとして消費財、小売、レジャー、テックベンチャーなど多様な業種・ステージの企業の経営に携わる。 アメリカ合衆国ニューヨーク州弁護士。日本MIT会理事。

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