今月は、第24回VMPで「TORUS賞」を受賞された株式会社ViewBE代表の鈴木葉留奈さんに登場いただきます。
髪を通して、今の自分と向き合い、生活を整える
- 大野
- 鈴木さん、お忙しい中をお時間頂戴し、ありがとうございます。
2024年12月のVMPファイナルで発表いただいてから数ヶ月経ちましたが、その間、VMPでメンタリングを担当された橋本昌子さんが経営される石川県のてまり薬局でもヘアチェックFaviewを導入されるなど、化粧品領域を超えて、医療・薬局領域への展開を進めていらっしゃいますね。頼もしいです限りです。
まずは、鈴木さんがVMPに応募されて、提案された事業の概要を、読者の皆さんが分かりやすいように教えていただけますでしょうか。
- 鈴木
-
弊社のFaviewは、スマートフォンやタブレットを通じた頭髪・頭皮診断により、美容、食事、運動などライフスタイル全体に寄り添ったセルフケア提案を行うAIサービスです。
「髪を通して、今の自分と向き合い、生活を整える」ことをコンセプトに、オンライン、オフラインの両方から女性の美容を健康の土台を支えることを目指しており、ビジネスモデル的にはtoCとtoBの両方で展開していますが、toCの方には、気軽に今の自分の状態の把握と、その状態をより良くするために、何をしたらいいのかがわかるというサービスを、toBの方にはそれらのデータを使った一緒に商品開発やマーケティングをしています。
お客様コミュニケーションをいっしょに設計するため「企画」から担わせていただいています。
美容感度が高い方々、髪をきれいにしたいと思っている方々が、どんなことで悩んでいるのか、その方の今の状態のデータがFaviewにたまります。
ですので、そこのプラットフォームを通じたマーケティングの活用や、この商品を本来のターゲットの人に繋げるみたいなところの2方向、つまりtoBとtoCの両方を進めています。
- 大場
-
これを始めたきっかけとか、こういうことを実現したいのでこういうプラットフォームを作ろうとか思ったとか、どういうことがありますか。
- 鈴木
-
私は幼い頃から美容に関してとても興味がありました。
世の中の女性がどうしたら生き生きするかと考えたときに、髪がきれい、肌がきれい、心がきれいだったら外に出たいなとか、誰かとお話したいなと思うだろうと考えていました。
ですので、大学で専攻を決めるときも、化粧品の業界に行きたいという一択の選択しかなく、化学を専攻しました。
キャリア1社目も化粧品会社で、研究開発、企画、美容室やエステサロンでの営業をしていました。製造管理以外の部分をこのときにさせていただきました。
おそらく私は、化粧品会社の商品開発として、ずっと会社員を続けるだろうと想像していたのですが、いろいろなことがありちょっと起業しようと思ったんです。
起業しようとしたときに、やはり女性のビューティーに関わることがいいし、1社目のキャリアからヘアケアをずっとやっていたので、ヘアケアにまつわることがいいと思いました。
私が円形脱毛症になったときにも、自分自身の状態がわからなかったし、状態がわかったとしても何をしたらいいのかわからなかったんです。
そんな2段階でわからないということがあったのですが、それを一気に解決するソリューションは、ITの時代だったらできるのではないかと思い、美容×ビューティー×ヘルスケア×ITを、全部掛け算したものを開発しようとなり、今、起業しております。
- 大野
-
いろいろなことがあって起業したとおっしゃいましたが、それはどんなことでしょうか。
- 鈴木
-
化粧品会社にいたときに円形脱毛症を発症しました。
気づけずに皮膚科に行くタイミングが遅れてしまったのと、美容師さんから「脱毛できてるよ」と教えてもらえなかった。
自分自身である程度自分のからだのことをわかっていたほうがいいのではないかと思ったのがひとつ。
またヘアケア=シャンプーと思われがちだが、食事や睡眠・運動も関係してくる。美容師さんや1社の化粧品メーカーだけでは対応しきれないと思ったのがもうひとつの理由です。もう1つ、自分の軸として「女性向けのサービス開発とマーケティング」ということをずっとやってきました。
化粧品メーカーのあとにほかの業界ではどうやってビジネスをつくったり、お客様体験をつくっているのかを知りたい・経営や事業開発に関心があるということからコンサルティングファームに転職しました。
そうしたら、いろいろな業界ではこういう取り組みがあるとか、会社規模が小さかったらこれをやるけど、大きかったらこれくらいのことまでできるんだというような、女性のサービスという軸を切り口に、バーティカルにいろいろなものが見えました。コロナがきて描いていたプロジェクトがうまく進まなくなった時期に起業しました。
人生で自分の意思に反して宙ぶらりんになることってあまりないなと思い、逆にちょっと振り返ってみて、やりたいことをやってみようと思いました。
当時まだぎりぎり20代だったので。
ヘアケアを切り口に商品ではなくサービスで対応していく事業をしている会社がなかったので、起業というのもあり得るなと思い、進み出した感じです。
- 大野
-
ちなみに円形脱毛症ってストレスだという話もありますが、例えばそうなってしまったときに皮膚科などのクリニックに行ったりはしないんですか?
- 大場
-
もちろん皮膚科にも行きますが、薬を塗って注射するという治療もしつつ、自分でホームケアでできることは何だろうと考えました。
例えば花粉症になったら花粉症の薬も飲むけど、セルフケアとしてコーヒーを飲むのを控えるとかあると思うんですよ。
身体にはセラミドを結構使うとか。
何かそういうオプションが全くわからなかったんです。
美容業界経験とコンサル経験とが活きたビジネスモデル
- 大場
-
toBも、toCもあるとのことですが、例えば私がサービス体験をしたいと思ったら、どういうレコメンドをいただけますか?
例えば企業だったら、どういう組み合わせで情報提供をしたりという、そこのイメージがちょっとまだわからないので、その辺りを詳しく教えてもらえますか。
- 鈴木
-
大場さんが頭皮チェックをしたいと思ったときに、FaviewのLINEに入っていただいて、その中で問診が行われます。
いつからどんな悩みがあるのか、今何をしていらっしゃるのか、生理の状態、ピルを飲んでいるのか、などを聞いて、頭皮の写真を2枚送っていただきます。
無料で、今の髪の毛の細さ、水分量、頭皮の色・硬さに、フケの状態などと、お悩みに対してどういうことをしたらいいのか、おすすめのシャンプーの成分とか、必要な栄養素などを、毎月のチェックに合わせて言葉などを変えて送っています。その後に有料プランで、それに合わせたものが買えるようになっていて、提携している企業さんのシャンプーとか、プロテインや飲み物などをお送りする形です。
大場さんがFaviewへ行ったらFaviewの中で完結します。Bの方で言うと、例えばたまたま大場さんの好きなブランドがFaviewと提携をしていたら、そのブランドのECの中で同じように写真をECの中でアップロードをしたら、大場さんに合わせたシャンプーのレコメンドが、そのブランドの中だけで行われるというようなものになります。
ECではなく店舗でタブレット式で対応しているものもあります。
- 大場
-
どうやってマネタイズされていますか?
- 鈴木
-
toB、toCの両方からいただいていて、toCの方からは、診断した後に商品が購入されたら発生します。 その商品は自分で選ぶというより、レコメンドしたものから選んでもらう形で、またはサンプル7日間分で2,000円というものがあり、どのブランドかはこちらであなたに合わせてチョイスしますというおまかせプランです。 そのサンプルプランを買っていただくことで、toCはマネタイズをしています。
toBに関しては、いくつかあります。
ひとつは、診断システムのAPI連携や企画としてお支払いいただいています。お客様の商品を購入するまでの体験や経過観測がおえるという点でツールとしてAPI連携しつつ体験設計をさせていただいています。
2つ目は、Faviewのユーザーさんにサンプルをレコメンドする場合にメーカーがサンプルプラン用のサンプルを提供してくれます。
そうするとその顧客の購入確度が上がり、普通にばらまいてサンプリングするよりも効率が良いので、マーケティング費用を払っていただいています。3つ目は、Faviewの中に蓄積されているユーザーさんの中にアプローチしたいという単純に広告費用があります。
4つ目は、化粧品通販ブランドさんなど定期顧客がいるような会社は、会員さん向けに記事を私達の方で監修したり、イベントを企画して一緒に開催するなど、それもイベント企画費用みたいなところでいただいています。
最後に、Faviewの中で集まったデータをもとに商品開発をするということで、研究費用をもらうということもやっています。
- 大場
-
過去に経験されたコンサルがすごく生かされていますね。
- 鈴木
-
コンサルもですし、私は化粧品の処方開発や、ブランド立ち上げもやっていました。
大きい会社だったら研究員がいるので、アドバイザー的な感じでいまもしています。
小さめの化粧品会社だったら処方もやって、サンプルが上がってきたものをFaviewのユーザーさんにモニターテストするところをやったりします。
企画段階でFaviewにたまっているお客様課題を活用することもあります。
これはヘアケアだけでなく、スキンケア商品にも通じることがあるので。
- 大場
-
コンサルはどれくらいの期間やっていらしたんですか。
- 鈴木
-
コンサルファームにいたのは1年だけなんですよ。
- 大野
-
まあ! それでも学び取ったわけですね。
- 鈴木
-
そうですね。でも化粧品メーカーに行ったときも、クライアントの美容室の経営売上を上げるために、美容師さんの経営アドバイザーみたいなことを勝手にやったりしてたんです。
PL/BSを出してもらって販管費を抑えて、逆に売上を上げるためにはこんなプランをやったらいいですよと、それが売れたらシャンプーの注文が増えるので、それでやってたりしました。
新卒入社した化粧品メーカー退職後も様々なブランドさんで開発やマーケティングのお仕事もさせていただいています。
- 大野
-
事業の基礎がしっかりできている感じですが、MBAとかビジネスに関する勉強はされたんですか。
- 鈴木
-
いや、MBAは取ってないのですが、ただコンサルのときに1から叩き込まれた感じはあります。
社内の研修が結構あったので、ロジカルシンキングとか、テストなどを全部クリアして…というのはやってました。
- 大野
-
頼もしいですね。
- 鈴木
-
それでもやはりわからないことはたくさんあり、MIT-VFJもですが、いろいろなアクセラに入らせてもらって、昨日も1つアクセラを受けてたのですが、そこで初めて聞く言葉や初めて見るフォーマットなどをやってました。
- 大野
-
鈴木さんのFaviewのサービスは、Cにとっては、企業横断的に、自分に合った良いものを選ぶことができるというのがすごくいいですね。
- 鈴木
-
今の自分に必要なものがわかるという、パーソナライズですね。
- 大野
-
そのアドバイスってすごく大事だなと思います。
- 鈴木
-
あと私が結構大事にしているのがホリスティックにアドバイスを出すということです。
ヘアケア=シャンプーと皆さんは思いがちなのですが、ヘアケアにはやっぱり運動とか食事も影響してくるので、アドバイスの内容はシャンプーとか美容だけに留めないというのは意識してアルゴリズムを作りました。
VMPの二人のメンターとの出会いがあったからできたチーム作り
- 大場
-
そういうポリシーって、今回のベンチャーメンタリングプログラム(VMP)のメンターの方たちから何かアドバイスがあったりしたんですか?
それとも元々そういうものだったのですか?
- 鈴木
-
元々その考え方はあったのですが、メンターの田端さんと橋本さんに、なにがFaviewの特技であるのか、私の特技であるのかというPRポイントを、ちゃんとわかってないのが勿体ないと毎回言われました。
毎週のメンタリングの初期の頃は、お二人から、「これについてどう考えている?」「これってどう思う?」などと、わーっと聞かれていました。
全部ボールを返していたら、「その言葉って普通の人は言わない言葉だから、ちゃんと前に出した方がいいよ」と言われて。
例えばさっきお伝えした「ホリスティック」とか、「ヘアケア=シャンプーというのが普通の人のイメージ」というのも、私にとってはそうではないのですが、一般の人にとってはそうなんだと認識した方がいいというようなことをすごく言われました。
- 大場
-
客観的にすごい特徴をあぶり出していただいたみたいな、そんなイメージですね。
- 鈴木
-
私達自身があまり特徴だと思ってなかったところを、それは特徴だからと言ってくださったというのは大きいですね。
美容業界に行ったら、それは結構当たり前になっちゃうんですけど、そうじゃない方とお話をしたり、今は美容業界以外の会社さんとも連携するような話が出ています。
これは、多分私の伝え方が変わったからだと思います。
変わるきっかけをくださったのがメンターのお二人だったと思っています。
- 大野
-
良いメンターに当たりましたね。
- 鈴木
-
本当にそうです。 1月に金沢に行ってみんなでメンタリング打ち上げをしたのですが、お二人がメンターで本当に良かったと思ってます。
田畑さんは、結構ロジカルだけどしっかり調査してやってくださるし、橋本さんも「それだよ!」みたいな感じでパンって言ってくださって。Faviewのメンバーも、今回のメンタリングに参加してもらったんですよ。
オンラインで耳だけでもいいし、顔出しをしなくてもいいし、私しか喋らなくても、参加してほしくて、エンジニアとCSの子が入ってくれたんです。
みんなキャラが違うので、田畑さんの言葉はエンジニアさんに結構刺さっていて、私がちょっと言いにくいこととかを田畑さんがパシッと言ってくれたりして、ありがたかったです。
- 大場
-
先ほど、たくさんアクセラに参加されているとおっしゃってましたが、ベンチャーメンタリングプログラムにエントリーされたのはどんなきっかけでしたか。
- 鈴木
-
CICに入っている私の友人たちが、こういうのがあるよと教えてくれたんです。
その当時、私は、事業計画書とか資金繰りがうまく書けないとか、値付けがわからないというので悩んでいて、起業家の友人たちに相談をしていたんです。
そのときにやっぱりテックだからちゃんとテックの価値がわかる人、そして業界横断するような顧問などが、MIT-VFJには多いみたいだから、話が合うのではないかと言われたのがきっかけですね。
- 大場
-
そのイメージは実際やってみたらどうでした?
- 鈴木
-
もうまさにそのイメージ通り、イメージ以上でした。
協業のこととかも、橋本さんや、馬場さん、他のメンターの皆さんからも、化粧品会社とか食品会社を結構ご紹介をいただいて、そこからの繋がりが今も続いています。
- 大野
-
鈴木さんは愛されキャラだから、どんどん突き進んだらいいです。
- 鈴木
-
ありがとうございます(笑)
- 大場
-
VMPのメンタリングを受けて、一番自分で響いたこととか、その後すごく活かされているなとか思うことかはありますか?
- 鈴木
-
実用的な部分で言うと、元々資金繰り表、事業計画書が作りたかったのですが、それができたというところです。
値付けもできて、それがきっかけで提携や商談が進んでいます。個人的に一番すごくありがたかったと思うのが、チームとの関係性の部分です。
私とエンジニアは、バックグラウンドが違うので、仕事の進め方が違ったり、どこまでお願いしていいのかがわからなかったりします。
まだ完全フルコミではない中で、彼がすごくやろうとしてくれているけど、私は別の分野で営業を取ったりしないといけないとなると、なかなかケアができなかったり、お互いのやってることがちゃんと理解し合えないということが起きます。
そこの対話をどうしたらいいのかわからなくて、橋本さん田畑さんに相談したら「このメンタリングに参加してもらっていいよ」と言ってくださいました。
CEOはどういうところまで考えていて、こんなスケジュールで動いているよというのは、私からはなかなか言えない。
しかし、メンタリングに一緒に参加することで、エンジニア以外のCSの子も含めて把握してもらい、その中で自分ができることは何かということを、彼ら自身が考えてくれるようになり、本当にありがたかったと思っています。toBの営業で私がパツパツすぎて全く動けなかったときに、エンジニアさんと田畑さんで資金繰り表を作ってくれたんです。
資金の動きは、エンジニアさんは今までわかっていなかったと思いますが、それがわかったからこそ「ここまでにこの開発をしないと会社がマズイ」ということが彼自身でわかるようになりました。
その共有を彼からCSの人にやってくれたので、今まで3人別々に、私を介して動いていたみたいな感じだったものが、サイクルが回るようになりました。
もちろん、まだまだ気になることはあり、週次で話はしますが、このメンタリングにみんなが参加する場所を作ってくださったことによって、チームとして一体感が生まれました。
元々予想してなかったことで、参加して一番良かったなと思う部分でもあります。
- 大野
-
いいですね、素晴らしいです。
- 鈴木
-
お二人がメンターだったからこれができたのかもしれないと思います。
成長と組織づくり
- 大場
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タイミングとかご縁とかいろいろあるんでしょうね。
一緒にやってもらうときとか、同じ方向を向きたいときって、引っ張るだけではなかなか難しいですよね。
自走してくれる、全体の目的をわかってやってくれるって、すごくいいチームになっていく感じですね。
- 鈴木
-
「みんなでやりたいね」とずっと言っているので、そのみんなでちゃんと具体的な動きができるようになってきたかなと思います。
- 大野
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今、社員は何人くらいですか?
- 鈴木
-
3人でやっています。
- 大野
-
3人みんなでメンタリングを受けていたというのは素晴らしい。
- 大場
-
こういう場は他にはないですか?
- 鈴木
-
ないですね。
もしかしたら「メンバーも参加していいですか」と聞いたら、OKのアクセラもあるかも知れないですが、こういうメンタリングはあまりなくて、大抵はみんなで座学をして、座学で宿題が出て、事業計画書を書いたり、なんちゃら分析をしてグループワーク、その他の企業家の方とグループワークをする、みたいな形です。
こんなに1社1社にガッツリ、メンターが入ってくれるというのはないです。
- 大野
-
自治体のアクセラとかいろいろありますけれど、大抵は個人にフォーカスして、その個人をフィーチャーするという。
MIT-VJFはチームにフォーカスしているんです。
元々MIT-VFJはそういう組織なんです。
質問する場合も「このチームはちゃんと動けているか」とか。
だから他とは違うという気がします。
- 鈴木
-
本当は他でもこういうものをやってほしいなと思います。
逆にCEO不在の勉強会とか、何かそういうのとかもあったら、すごくありがたいなと思いつつ…それは彼らに私がプレッシャーを与えてしまうかもしれないと…どうしたらいいんだろうと悩んだりします。
- 大場
-
今いい方向に向かっていらっしゃるということですが、現在抱えてる課題とか、克服しないといけないことか、主に取り組んでみたいこととかありますか?
- 鈴木
-
事業法面で言うと、toBに対しての営業を決めていく、しっかり実績を残していくというのが今年の目的目標です。
toCの方も、年間の目標のKPIがあるので、そこに向けて施策を回すというようなものになっています。
私一人ではもちろんできないので、3人でちゃんと動き、それぞれに任せるということが私の中で結構なハードルです。
全て信用して任せ切ることがなかなかできてないなと、本当に年末(2024年)に思ったので、個人の目標としては焦らず任せることを掲げています。
きれいの基準は1つじゃない 日本から世界に
- 大場
-
もう少し先に実現したいこととか、将来的にはここまで事業を大きくしたいとか、そういう大きい目標とか、先の目標ってどんなことですか?
- 鈴木
-
まず日本では30代の都心部の3割の女性がFaviewを使っている状態を目標にしています。
ベンチマークをしているのがアットコスメなのですが、アットコスメが2000年台まだユーザー数が10万もいないタイミングで、ストアがオープンしたというのがあるのでそこをまず目指しています。また、このサービスを作ったときからグローバル展開をしたいという思いがあります。
Jビューティー(ジャパンビューティー)という言葉がありますが、今やKビューティーに押され、日本がちょっと下火になっていて、日本の化粧品全体の売り上げも落ちてきてしまっています。
しかし、テックなら国境を越えて、提供できます。
国別、人種別にちょっとアルゴリズムを変えないといけない部分ありますが、そこの国の人にお願いすればいいことなので、全世界で肌診断と同じように、頭髪というのも自分の状態をちゃんと把握した上で、生活習慣を変えるみたいなムーブメントを作りたいと思っています。
- 大場
-
世界の人を輝かせるみたいな、そんな感じなんですね。 すてき!
- 鈴木
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きれいの基準は1つじゃないと、ようやくそういう感じになってきていると思います。
昨日の自分、先月の自分に、こういうことを私は自分にやってあげたという記録がFaviewでは残るし、それをやった上で髪の毛の状態がどうなったか…よくなっていたらいいけど悪くなってたとしても季節の変わり目だからねとか、自分の癖に気づくよねと、そういうマインドセットになってもらうようなサービス設計をしています。
それは、Jビューティーもそうですし、日本の禅とか、東洋医学みたいな、そういった考え方だからこそ日本から世界に出したいなと思います。
- 大場
-
可能性があり、すごい組み合わせがたくさんできそうですね。
- 鈴木
-
はい。中国と東南アジアは実はもう動いています。
- 大野
-
今は収益的にはどうですか?
- 鈴木
-
収益も今も出ているのですが、見込みとしても去年(2024年)よりもだいぶ大きくなりそうだなと。
今溜まっているボールをちゃんと打ち返していけば。
- 大野
-
そうすると人も採用していかなければなりませんね。
- 鈴木
-
そうなんです。 ただそこも悩んでいて、できる限り3人で行けるところまで行きたいという思いもあるので。
みんなフルコミになった上で、他を業務委託にお願いするとか。
将来的に一応早くて2年後のM&Aというイメージもあり、あまり組織を大きくできないなというところもあります。
- 大野
-
IPOじゃなくてM&A狙いですか。
- 鈴木
-
M&A狙いです。 そっちの方が早く世界にいけると思って。
- 大野
-
でもM&Aにしても、ご自身がずっとやっていきたいわけですよね。
- 鈴木
-
そうですね。嫌がられなければいきたいという感じで。
- 大野
-
M&Aをすると、向こうに引きずられてしまうことが多いので、そこはしっかりしとかなければなりませんね。 私たちじゃなくてはダメというところを打ち出していかないといけませんね。
ところで、MIT-VFJの監事の佐々百合子さん(弁理士)に、ViewBEとFaviewと、なんか同じような名前が2つあって、わかりにくいと言われませんでしたか?
- 鈴木
-
言われました。 Faviewという名前を先に決めたんです。
会社名はどうしようかとなったときに、Faviewを会社名するのもありだけど、ファビューはサービスのイメージがつきにくいと言われて、何か変える方がいいのかなって…全部ふわふわできたって感じです。
- 大場
-
なるほど。 佐々さんから言わせると、なんで私にもっと早く相談してくれなかったのと。
- 鈴木
-
特許のこととかもいろいろあって、佐々さんに相談しています。
- 大野
-
活用してください。とても優秀な人ですから。
- 鈴木
-
はい、ありがたいです。
VMPの参加を考えている方たちへのメッセージ
- 大場
-
今後、ベンチャーメンタリングプログラム(VMP)の参加を考えている方たちにメッセージをお願いします。
- 鈴木
-
テック系の方だったら多分ジャンル問わずに、もうぜひぜひエントリーしてほしいです。
よくあるアクセラでは人としてマンパワーがどんどんついていくのはいいのですが、サービスを見てくださるアクセラは意外に少ないです。
私のメンターはサービス全体がどう成長するかというところもアレンジしてくださいました。
今私がこれに困っているとなったら、その話をしようみたいな形で、アジェンダもこちらが決めていいとなっていました。
ですので、短期間で本当に集中してビジネスモデルを見直すとか、資金繰りを見直すとか、チームの体制を見直すみたいなところをやりたい方にはお勧めだと思っています。
- 大場
-
本日はお忙しいところありがとうございました。
鈴木 葉留奈(すずき・はるな) 氏 プロフィール
株式会社ViewBE 代表取締役
化粧品開発研究・毛髪診断士。
自身の脱毛症の経験をきっかけに、髪の悩みを総合的にサポートするサービスの必要性を実感し、ヘアテックFaviewを立ち上げ。
スマートフォンで髪と頭皮を診断し、専門的なアドバイスを提供するサービスは、化粧品・食品・ライフスタイル改善を組み合わせた独自のホリスティックなアプローチが特徴。
現在、個人向けの診断サービスに加え、企業向けのAPI提供やコンテンツ開発を進めている。
東京都や経産省のアクセラレーションプログラムに選出されるなど、その革新性が評価されており、Faviewは女性の美しさを引き出す新たな選択肢として進化している。

聞き手 大野一美
MIT-VFJ理事
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聞き手 大場さおり
NTTドコモに新卒入社後、コーポレートブランディング、コーボレートコミュニケーションの分野に長らく従事。
展示会等のイベント、広告制作、ドコモ未来フィールドの立ち上げ等対外発信戦略の立案と実行を担う。
2025年より兼業でMIT-VFJ広報を担当。
「未来を担う人々が日本、さらにグローバルへ羽ばたいていけるように」「日本のビジネスや伝統文化などの良さを海外・国内と広く広める」を自らのmissionととらえ、ファイナリストやMIT-VFJの情報発信を担う。
