第25回VMPで「和田賞」「未来のフツウをツクルで賞」「佐々・藤盛特許事務所賞」を受賞されたドメーヌ・アサノハの青山優介さんに登場いただきます。
独立してワイナリー設立を目指し、世界初のシャインマスカットのオレンジワインをリリース
- 大場
- 貴社について・ビジネスモデルについて、そして青山さんについて教えていただけますか?
- 青山
- 現在は個人事業主として、ブドウ栽培から(今はまだ委託醸造による)ワイン造り、そして販売までを一貫して行なっております。
今後自社ワイナリーを設立し、日本国内だけでなく世界市場に向けて自社製造ワインをお届けしていきたいと考えております。
主力商品はシャインマスカットのオレンジワインです。
昨年開発した栽培方法もワイン専用に変更した、黄色くなるまで完熟、種あり、小粒のシャインマスカットから作るオレンジワインはおそらく世界初であり、醸造方法に関しても各プロセスでオリジナルの工程があり、現在特許出願中です。
他にもミシュラン星付きレストランのシェフや、某有名漫画家様とのコラボなど、歴史ある同業他社がやらない、できないような異彩なことをスピード感を持って実行する、そんなワイナリー界のベンチャーになるべく走り始めたばかりのスタートアップです。
- 大場
- さらに詳しく教えてください。
ワインを造ったきっかけ、そして今どんな方とやりとりしていらっしゃるかなど差し支えない範囲で教えてください。
- 青山
- 私は、昨年、他県から山梨県に移住しました。
前職はワインのソムリエの仕事をしておりまして、その過程で本当にワインに自分の人生を変えていただいたなという思いが強くありました。
そんなワインの仕事をしていきたい、そのワインをゼロから作っていきたい、そんな思いから、本場山梨県に移住しました。
経験もなく、今までとは全く違う畑違いの職種から、移住をしてゼロから作り始めた…ということです。
- 小澤
- 青山さんはずっと飲食業でのお勤めでしたよね。
サラリーマンソムリエをやっていて、それがワインを造る独立とは、本当にすごい決断だと思うのですが、どうして思い立ったのでしょう?
- 青山
- 前職の時に結婚したのが大きいですね。
結婚式場での飲食サービス業なので、朝早い時は5時とかから出社して、夜遅い時はもう日をまたぎ真夜に帰る。
土日はもちろん休みじゃない。
そうした中で結婚し、子どもも授かりたいと思っていたので、このままだと家族との時間が全然作れなさそうだなということを妻と話していました。
もちろんお金を稼ぐのも大事なんですけど、幸せな家庭、幸せな時間というのを、2人で、そして生まれてくる子どもに対して作っていきたいなと思い、そういったライフプランを見据えて退職しました。
退職した後に何をするのかとなった時に、自分自身はワインに人生を変えてもらったと思っていますし、これからもワインの仕事をしていきたいと思いました。
ワインを造りたいという、ある意味自分のわがままで選んで、それに対して家族がついてきてくれました。
- 小澤
- なるほど。
ワインに関わるということでは、ワインの販売などもありますよね。
ワインを造るのは、事業的にもすごく大きいし、例えば資金面や、まだ予測がつかない苦労などもあると思いますが、結婚したてでこれからお子さんが生まれていく中で、ご家族の反対はなかったのですか?
- 青山
- それはなかったです。
本当に今やりたいことをやっていいよっていうことでした。
ワインを売る仕事とか、もちろん選択肢にあったと思うんですけど、私の中ではそれはなくて。
見通しが甘いと言ったらそれまでなんですけれど、本当に何もなしで、ただやりたいということしか見えてなくて、移住っていう選択と、この仕事をするという選択をさせてもらいました。
- 小澤
- では今ではご家族の夢になっているんですね。
- 青山
- そうですね。そう思ってくれていると思います。

実は偶然の産物だったシャインマスカットのオレンジワイン
- 大場
- さきほどシャインマスカットがオリジナルで唯一の存在とおっしゃっていましたが、きっかけはありますか?
- 青山
- 本番の最終発表では、シャインマスカットのオレンジワインは理由があって造ったと申し上げたのですが、本当のところは偶然生まれた商品でした。
移住をしてすぐ、まずは自分のブドウの畑を探し始めました。
ですが、三ヶ月間いろいろな農家さんや、いろいろなところへ行っても、そもそも畑自体が少ないですし、ぽっと出の移住者のどこの馬の骨かわからない若造に、畑の情報はなかなか集まりませんでした。
そんな中でやっと見つかったのがシャインマスカットの畑でした。
そのシャインマスカットの畑が結構な広さで、ブドウを栽培した経験もない私から見たら、さすがに未経験者にはできないだろうと思い、最初はお断りさせていただきました。
その後すぐ紹介者の方が「自分もやるから一緒に作ろうよ」と言ってくれて。
しかもその紹介者の方もブドウを作っていない方なんです。
その一部をワイン用で作っていいよと言ってくださって、シャインマスカットのワインを造るという流れになりました。
シャインマスカットのワイン作るぞ、となって、じゃあ他社はどういったものを作っているのかと調べた時に、やはりシャインマスカットのワインは少なかったです。
加えて、実際に買ってみて飲んだところ、まあその正直あまり美味しいとは思えなかったんですね。
他にもソムリエ仲間や、同じ自治体のワインに詳しい方へ持って行って、一緒に飲んでもらっても、やはりこれは薄いし美味しくないよねと同じ感想でした。
ではどうしたら美味しくなるかということを、ソムリエ目線から追求していった結果、オレンジワインにするという結論になりました。
オレンジワインだと、種からの渋みによって少し複雑さであったり、厚みであったり、美味しくなる要因が抽出できるということを狙って考えました。
そうなった時に、シャインマスカットは種がないから、そもそもオレンジワインができないという考えになりました。
種ありのシャインマスカットというものをこれまで見たことはないですし、実際シャインマスカットを作っている農家さんも作ったことも、見たこともないということでした。
同じ山梨県にある農林大学校の教授の方々にお話を聞いたところ、前例はないが、これだったらいけるのでは? というお話をいただきました。
シャインマスカット以外の種ありの食用ブドウのノウハウなどをいろんな場所のいろんな方々に聞いて、それを総合しながらもソムリエのフィルターを通して取捨選択してシャインマスカットに採用した結果、種ありのシャインマスカットができました。
且つワインに適した、小粒であったり、黄色くなるような、しかも生食とは比べ物にならない糖度の状態を作り上げることができました。
シャインマスカットでワインを造るのはかなり難しいらしく、その他のワイン用のブドウと異なりゼラチン質が多く、そもそもがあまり搾れない。
ワイン用のブドウだと、ブドウを搾った時に 80%くらいがジュースとして抽出できるのですが、シャインマスカットは 40〜50%しか絞れないという課題がありました。
オリジナルの工程になるのであまりお話できないのですが、他のワイン用のブドウと同じくらいの水準である80%に上げる方法を、委託先のワイナリーさんと作ってきました。
その過程を経て出来上がったのがシャインマスカットのオレンジワインで、最初からこうなるというのを見据えてはいたのですが、その過程は探り探り、いろいろな方に助けていただきながらできた、本当に思い入れのあるものとなっております。
- 大場
- ご縁と研究と努力が重なって出来上がったのですね。

スピード感と、こだわりの想いとのジレンマも
- 小澤
- いろいろな方にすでに尋ねられていると思いますが、中国が恐ろしいほど広大な面積でシャインマスカットを作っていますし、先になにかの特許を取られるということもあると思います。
また海外で安価な類似品が出るということもあるかもしれないですが、考えていること、対策などを含め、今の率直な見解をお聞かせいただけますか?
- 青山
- 中国のシャインマスカットに関しては、正直そこまで今のところは脅威には感じていないです。
1つが日本ブランドであること。
コピーブランドってデメリットの部分があるのかなと思っていて。
ブランド価値っていう意味では、日本のシャインマスカットを扱っているっていうのはすごい強みだなと思っております。
これからシャインマスカットのオレンジワインが仮に中国から発売される恐れも確かにあるなと思っている中で、単にそのブランド価値で差をつけるだけではなくて、本当にスピード感を持ってそのシャインマスカットのオレンジワインという世界市場を先に取ってしまうことが要になるのかなと思っています。
そこに関してはスピード感を持ってやっていきたいなと思っております。
- 大場
- そのスピード感をと言った時に、自社ワイナリーでやるのか、委託で作っていただくのかなど、 いろいろなやり方あると思うのですが、なぜ自社ワイナリーでやろうと決めているのでしょうか。
- 青山
- 全部を自社ワイナリーでやろうと思っているのは、経営がどうこうとかではなくて、シンプルに一番最初の私の想いである、自分の育てたブドウで、自分で造ったワインを、自分で提供したいというワガママが根本にあります。
もしかしたらおっしゃっていただいた通り、自分でワイナリーを建てるよりも、他のワイン工場の設備を借りて作るというのを続けた方が、リスクも低くて、もしかしたらお金回りもいいかもしれないんですが。
理屈じゃなくて感情で、この全部自分で関与したものを最後まで届けたいという想いがあるから、そうしたいっていうだけですね。
でもスピード感を持ってやるためにも、まだ自分のワイナリーができるまでには、どうしてもどれだけ急いでもまだ時間がかかるので、来年再来年とかは、他のワイナリーさんに自社のシャインマスカットを持ち込んででも作ることが、もしかしたらもっとスピード感を持って先に世界市場に食い込めるかもしれないので、そこは考えていきたいなと思っています。
でもどうしても…自分の作ったブドウだったとしても、やはり他のワイナリーさんに造ってもらったワインだと、なんか自信を持って言えないんですよね。
- 大場
- パッションは大切ですもんね。
いろいろなタイミングとか出会いとかある中で、ぜひそういうタイミングをご自身できっちり見極めてやっていかれるんだろうなと思うので、応援しています。

ワイナリー建設予定地は、ノーベル賞受賞者、大村智博士ゆかりの土地
- 大場
- ご縁といえば、ワイナリーの場所選定が、とてもユニークだと伺いました。
- 青山
- ワイナリーの場所は、ユニークというか、買いたくても買えない場所です。
韮崎は、ノーベル賞を受賞した大村智博士の生まれた街、今もお住いのある街ですが、大村智さんのご自宅の正面の土地を購入させていただくことができました。
温泉や美術館のある大村財団…大村さんが私財を投じて、街を活性化されている大村記念公園内のところを買わせていただきました。
周りも和風テイストというか、大人の遊園地のような異空間で、私自身がワインをこれから造っていく、ワイナリーを建てていく、そんな具体的なイメージがここなら描けました。
まだ建設はできてないのですが、2年後を目指して計画しています。
- 小澤
- すごいことですね、大村記念公園の土地を買うなんて!
どうやってその土地にリーチしたのでしょうか。
なぜあの財団の土地を購入することができたんですか?
- 青山
- 1つが冒頭に申し上げた件で、移住してすぐにはブドウの畑が全然見つからなくて、農業されている農家さんとかに個別でアタックしていたんですけど、これじゃ本当に見つからずに月日が過ぎてしまうんじゃないかなと思っていました。
そこで、権力のある方にアプローチしようと思い、いろいろな経営者団体のところに飛び込みをさせてもらいました。
その1つの経営者団体にいらっしゃった方が大村さんでした。
大村智博士の従兄弟の方です。
畑と、できれば家も探してますという話をさせてもらったところ、この土地をご紹介いただきました。
その土地はご紹介くださった大村さんのご実家の真隣なんですよ。
真隣がちょうど空いているよということでお話いただいて。
紹介していただいただけではなく、本当に格安で交渉していただいたり。
大村さんは測量の社長さんなので、測量もご自身でしていただいたりと、本当に助けていただきました。
- 小澤
- いや、本当にすごいですよね。
大村智博士はご自身で美術品も集められたりして美術館を設立したり、すごく文化度が高いエリアになっているから、そこでワイナリーができるということは、これからターゲットとされる方がズバリ訪れる場所であると思いますし、青山さんって本当に「持ってる」と思います。
起業する人にはいろいろな要素が必要だと思うのですが、人間的な魅力や運をすでに持っているというのは、とても恵まれていると思います。
VMP25参加によって大きくなっていくビジネスプラン
- 大場
- すごい夢があっていいですね。
楽しみです。
いろいろな偶然も重なったとおっしゃっていたと思うんですけど、どんな将来や、どんなビジョンを思い描いて進めていらっしゃいますか?
- 青山
- 移住してすぐは、自分のワインが委託醸造という他社に造ってもらう形でも、3年後に1つのものができればいいかと思っていたのですが、蓋を開けてみれば本当にラッキー続きで、1年以内に目標を叶えることができました。
且つ自分が想像もしていなかったようなシャインマスカットというブドウを使って世界にないワインが造れて、いろいろなメディア様に取り上げていただけました。
今回この MIT-VFJのビジネスコンテストにファイナリストとして発表できたのも、当時の自分からしたら、本当に夢物語のような状態を作っていただいたと思っております。
今の自分の目標は、もっともっと大きなことを描けるようになっているのかなと思っております。
具体的には、2年後に自社ワイナリーの設立ですね。
設立した後には、現在の他のワイナリーさんに委託する形ではなく、自ら栽培から醸造も全て自社で行う、100%オリジナルワインを持って世界のワインに挑戦していく、そしてシェアを獲得していく、そんなビジョンを描いております。
- 大場
- どのぐらいの規模を目指そうとされているか、数値やイメージがあったら具体的に教えてください。
- 青山
- 7年後に自社ワイナリーができ、更にその2年後に、生産本数25,000本という一般的な中規模のワイナリーの生産量を目指して計画しています。
しかし、最終発表会の時の審査員の皆様のコメントで「もっと大きくした方がいいんじゃない? 」と言われましたので、もっと大きくできる方法も考えていきたいと思います。
事業規模を大きくするためにはもちろん資金や仕組みも必要ですが、まず自分自身の器も大きくしていかなければと思っております。
VMP25参加のきっかけは山梨県のビジネスコンテンストでの出会い
- 大場
- なぜ今回、MIT-VFJのビジネスプランコンテストに応募されたのでしょう?
- 青山
- きっかけは昨年、MIT-VFJ理事の磯谷さんとの出会いでした。
たまたま出場した山梨県のビジネスコンテストに出場していて、そこもファイナリストに残ったら、2ヶ月間メンターの方がついてくださるというものでした。
その時のメンターが磯谷さんだったんです。
そのコンテストは本当にありがたいことに入賞させていただいて。
終わった後も、磯谷さんからいろいろ連絡を取ってくださって、山梨で一緒にお酒を飲ませてもらったり、私も磯谷さんのご実家である滋賀県の方へ遊びに行かせてもらったりして。
今年の6月に磯谷さんと会った時、「もうすぐ締め切りだけどこういうのがあるよ」と紹介してもらったのが、このMIT-VFJのVMP25のビジネスプランコンテストでした。
締め切りが一週間後くらいだったのですが、バーッと作って出しました。
後日、その選考過程の裏話を聞いたら、今回メンターをしてくださった富樫さんが、「この案件を落としてどうする」と力説してくださったからこそ通過できたそうなのです。
本当にたくさんの方のサポートがあって、紹介してもらったり、通過させてもらったりして、今があるなと思っています。
- 大場
- 山梨県のビジネスコンテストとVMPとの差異はありましたか?
- 青山
- 仕組みは結構近いと思ったのですが、規模感がかなり違うなと思いました。
規模感…スケールですかね。
私の事業計画は最初は「5年後に売上1,000万を目指します」という内容だったんですね。
最終発表会では7年後で1億円としたものの、コメンテイターの方たちからは、まだ足りないと言われました。
山梨県のビジネスコンテストでは、山梨の中でどういった地域貢献であったり、どういったインパクトが生めるかという、都道府県単位というか、かなり狭い範囲の話でした。
MIT-VFJのVMPでは、海外展開であったり、グローバルで、さらにイノベーションなど、より大きなテーマで事業プランやプレゼンを作って行きました。
他の方々もその同じ土俵でプレゼンを作られているということで、本当に規模感の大きさというものを感じました。
メンタリングで自身の枠を超える
- 大場
- 青山さんが規模を大きくしようと考えられた何かきっかけは?
- 青山
- このコンテストに出させてもらったことですね。
そこまで規模を大きくしようとは元々考えていなかったですし、正直考えられなかったというのが大きいんですけど。
逆にそういった考えざるを得ない環境とか、そういった視点を持っているメンターの方々とのメンタリングを通して、大きなものの見方もできるんだということを教えられたと思っています。
- 大場
- メンタリングで、規模感を大きくしたターニングポイントなどはありますか?
- 青山
- メンターの方が、自分の枠にとどまらないような質問を投げてくださいました。
「海外でどうやったら売っていける?どうやったら大きくしていける?」という問いかけは、このメンタリングを受ける前の自分だったら、自問自答することすらなかったんですね。
外から真剣な想いを持って問いかけてくださるというのは、本当にハッとする最初の一歩になったと思っています。
その問いかけに対してメンターの方に投げ返すのですが「それじゃダメだね」「もっと自身の経験を以てもっといい方法を」「こういうのあると思うけどどう? 」という、問いかけだけではなくて更に実際の経験を通した血の通った意見を聞けたことは、これまで自分にはないことだったので、刺激になりました。
- 大場
- 経験を以て高みを教えてもらいつつ、そこに向かってやろうという気持ちにさせてもらえたメンタリングだったのですね。
- 青山
- 本当に引っ張ってもらった感じが強いです。
メンタリンクで提示してくださったものには、私は全てNoとは1つも言わずに、全てYesでついていこうという想いだけはブレないでいこうと思いました。
- 大場
- おー。
- 青山
- せっかく提示してくださったことに関して、「やらない方がいいと思います」と言うのは、自分の可能性を縮めることにもなるなと思いました。
せっかく大きな目線を持ってる方からの意見をもらえたのであれば、全部それを受け入れて、全部答えを出していきたいなと思っていました。
- 小澤
- メンタリングの時に言われたことを全て吸収して、逆らわず、そのままやるとなると、 自分の思ってることとは違うことや、それについてのズレみたいなものを感じませんでしたか?
- 青山
- そうですね、結果的にはズレはなかったんですけど、過程では正直ありました。
その1つが特許申請です。
特許取得にはこんなにお金がかかるんだということで正直悩んで、もちろん家族と相談させてもらいましたが。
結論は一番安くできる方法で出願をしました。
- 小澤
- そうでしたか。
確かに、知財を守るためにはお金はかかるけれど、絶対に必要なものですものね。
でも、ここでそういうことを提案してくださるメンターの方たちと出会えたのは、今後思い返した時に、一生大事なものになっていくんじゃないかと思います。
事業にとってとても大切なものをもらったと。
メンタリングで見えてきた、今まで知らなかった世界観
- 大場
- メンタリングを受けて、一番感動したとか、学んで今活かせているものなど教えていただけます?
- 青山
- 一番感動したのは、こんな世界があるんだと知れたことですね。
それはもちろんメンタリングを通してでもそうですし、メンタリング以外でも、合宿など皆様との交流を通じても。
そもそも私はベンチャーキャピタルという職業すら知らなかったので。
世界に目を向けた仕事をされている方にも出会ったことがなかったので、そこがまず1つの感動でした。
- 大場
- 今後のビジネス発展についてですが、数値も目標を高くしていらっしゃるということで、多分当初想定していたところよりもジャンプアップのプランを考えないといけないと思うのですが、それに向けてどんなことを考えたり、やろうとされていますか。
- 青山
- もともと自分の作ったワインを海外に出していきたいという思いはあったのですが、それは期限もついていなかったですし、まあ叶ったらいいなという程度の思いでした。
今は、海外に向けて、本気で尚且つ期限を切って進んでいこうと考えております。
そのための方法は、今回のメンタリングで教わったと思っております。
メンタリングの3ヶ月の期間ではどうしても達成できないことがあったので、もっとその先を、いただいた宿題だと思って実行していきたいと考えております。
- 大場
- 具体的にグローバル展開とは、どこの国で、誰と繋がって、具体的にこう動こうみたいなイメージはされてますか?
- 青山
- 具体的にどの国かというのは定めていないです。
海外にコネクションのある日本のシェフとの繋がりをまず構築して、その日本のシェフの方が、例えばシンガポールに和食のレストランの知り合いがいるとなったらシンガポールへ行きますし、ブラジルだとブラジルになるということです。
特定の国に対してはまだターゲットは決めていないのですが、今の時点では、国内で海外にコネクションのあるシェフとなります。
- 大場
- 今、具体的に何かアクションしていますか?
- 青山
- 具体的には、今、イギリスのインポーターさんと繋がることができて、利益を度外視したら契約はできるかなと思っています。
もう1つ、シンガポールの方とも繋がれそうで、現在メールでやりとりしています。
他にも実際このシェフに会いたいなという方は自分の中にあるので、その方にも随時アタックしていきたいと思っています。
- 大場
- 日々日々いろんな方と繋がれるように努力されているんですね。
- 青山
- ただ、まだ自社ワイナリー100%製造の製品がないので、まずはそこにウェイトを置くと思います。
同時並行にはなると思うんですけど。
- 大場
- 自社ワイナリーを作るにあたって、何をやったらワイナリーができるんですか?
- 青山
- ちょっときれいな倉庫みたいなものを建てて、その中にタンクや樽などを設置し、酒造免許を取得する。
この3点セットがあればワイナリーと名乗れますし、ワインを造ることができます。
- 大場
- なるほど。今その工程のどの辺にいらっしゃるんですか?
- 青山
- 今、3つの中でどれもまだ達成できていません。
まだ建物と中の樽とか備品に関しては見積もり段階です。
免許は、建物と中の備品と計画の全てが揃って最終的にもらえるものなので、まず建物と備品樽とかが目の前にある状態を作らないといけない。
そのためにはお金が結構かかるよねということなので、まずは資金調達をもう1つの目標として進めています。

- 大場
- これからのゴール、どこを目指したいと思っていますか?
- 青山
- ゴールは見えていないです。
見えていないのですが、その中間地点というか、まずとりあえず目指すべき中間目標は自分の中で据えています。
1つが法人化であったり、自社ワイナリーの設立であったり、海外に実際1本目を輸出していく。
それが1つのマイルストーンになるかなとは思っておりますが、その先ですね。
10年後とか20年後にどうなっているのかは、正直ゴールを見ることはできていないんですが。
こうあったらいいなというあり方が、仕事ではないのですが、幸せな家庭であったり、笑顔でいるという状態でいたいなとは思っています。
- 大場
- とっても素敵なゴールだと思います。
VMP応募を考える方たちへ
- 大場
- 最後に、来年以降VMPに応募を検討される方に、青山さんからコメントをいただいてもいいですか。
- 青山
- 是非、どんな立場の方でも、ダメ元でも何でもいいので、挑戦していただきたいなと思っております。
実際、挑戦することで見えてくる景色もあるかと思いますし、そんな皆様に私もお会いしたいなと思っているので、是非ともどしどしの応募をお待ちしております。
- 小澤
- ありがとうございます。
青山さんは今はとても運が良くて、与えられたもので十分にうまくいっているようですが、 あるところできっと自分自身の意志を持って何かを決するタイミングというものが訪れるでしょう。
その時の青山さんが何を生み出すか、何を目指すかが、私はとても楽しみです。
今後も青山さんのご活躍を追っていきたいので、ぜひぜひMIT-VFJにもどんどん関わっていただけたらと思います。
壮大な夢を語って実現される日をとても楽しみにしています。
青山 優介(あおやま ゆうすけ) 氏 プロフィール
1994年9月 福井県越前市生まれ
大学は心理学専攻
在学中に、格闘技ジムのNo.2としてキッズ空手指導やシュートボクシングの公式アマチュア大会にも出場
部活はダンス部に所属し、ブレイクダンスでパワームーバー(回転系)として大会やショーケースに出場
【職歴】
・2017年
大学卒業後、東証一部(現 プライム市場)上場のウエディング企業に新卒入社
・2022年
J.S.A.認定ソムリエ資格 取得
資格取得を契機に、富山→神戸→水戸と経験
・2024年
退職し、山梨県韮崎市へ移住
韮崎市地域おこし協力隊に就任
個人事業主(屋号:ドメーヌ・アサノハ)として開業
世界初の「シャインマスカットのオレンジワイン」を開発し、3日で完売
【その他 資格など】
認定心理士 (2017)
WSET level3 (2023) レストランサービス技能士1級 (2023)
ドイツワインケナー (2024) 日本ワインアドバイザー (2024) 第2種電気工事士 (2024)
山梨県立農林大学校 就農トレーニング塾 ぶどうコース (2024)
山梨大学 ワインフロンティアリーダー養成プログラム (2025~現在も)
【行動指針】 「本気度はスピード(度)」

聞き手 大場さおり
MIT-VFJ理事
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聞き手 小澤みゆき
MIT-VFJ理事
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