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創設の精神を踏まえて新たなオープンイノベーションに向けて

佐々木 浩二 様
MIT-EFJ 初代会長
株式会社アドイン研究所 代表取締役社長
http://www.adin.co.jp/

日本MITエタープライズフォーラム(MIT-EFJ)は、1999年10月の新たな出発以来、間もなく11年になります。本部MIT-Enterpriser Forum (MIT-EF)は、1978年設立で21年となりますが、1999年当時、Chapters 数は米国内17、海外6でした。

きっかけは1999年9月、日本MIT会会長としてMIT-Alumni Association (MIT-AA)のAlumni Leaders Conference に出席した折、関連活動としてのMIT-EFの発表会に参加したところ、台湾Chapterの立派な報告を目のあたりにしてショックを受けました。早速、MIT-AAのW. Hecht CEOとMIT-EFのE. Dunn CEO、Sloan SchoolのR. Schmalensee Dean、MIT Entrepreneurship CenterのK. Morse所長らと相談し、帰国後、直ちにMIT-EFJ新設の事業計画立案と組織化を実行し、11月23日の第1回セミナー開催に1カ月猛チャージで漕ぎつけた次第です。

MIT-EFJの創設の精神の骨子は、次の通りです。
・MIT-EFのMissionに則し、技術志向のベンチャー事業の起業と育成のプロセスを促進・強化する非営利活動を行うこと。
・MITだけに捉われることなく、広く参加者、支援者が集えるようにすること。

当初からStanfordにパートナーとして参画してもらいました。私自身、直前まで日本スタンフォード協会(JSA)の会長をしており、永年Stanfordとの強いつながりがあり、シリコンバレーのV-Labも念頭におき、協力体制をとりました。成否は人に依存するため、関連する様々な分野の専門家の参加とネットワーキングが鍵となります。

第1回開催に当たり、両校同窓会はもとより、大学、官庁、地方自治体、経済団体、学・協会、企業、ベンチャーキャピタル、ベンチャー企業、マスメディア等々、3000を超えるe-mailと手紙を差し上げました。11月23日当日は、勤労感謝の日の休日で、且つ案内発送も間際であったにも拘らず、5%に当たる150人参加という盛況でした。

半年後の2000年5月には、鈴木副会長、綾尾事務局長と一緒にMITでの“$50K Entrepreneurship Competition”への出席を兼ね、かねてから親交のあったMITのA. V. d’Abeloff理事長を訪問しました。翌2001年1月予定のMIT-EFJの第1回ビジネプランコンテスト イン ジャパン(BPC)のキックオフミーティングにおける基調講演を引き受けていただきました。このようにして始まった次第ですが、その後、名称を若干修正し、MIT-EFJビジネスプランコンテスト&クリニック(BPCC10)として10回目を迎えることは関係各位のご尽力の成果であり、また8月26日の最終審査発表会には、ゲストスピーカーとしてStanfordの同窓生でもあるJ. Roos米国大使が講演されることはご同慶の至りでもあります。

改めてMissionの本質的内容を考えると、育成の事業対象分野も指導の方向についても10年間で変化が著しくなっていることを再認識します。対象分野を技術的に考えると、コンピュータ等で代表される物的生産の時代から、バイオ、ソフト等の知的生産・サービスの時代となってきています。エネルギーは化石エネルギーから自然エネルギーへ転換しつつあります。経済はグローバル化が更に進み、先進国中心から新興国へと拡がりつつあります。

資本主義にも拝金的利益至上主義から公益配慮と倫理が強く求められています。我々には新たな時代の流れに適応することが不可欠です。様々なバックグラウンドや条件の下で、激動する時代の流れを正しく捉えて社会・人類の共通ニーズ・市場に対して、なお一層、適切な技術、サービスを提供していく活動の基本となるオープンイノベーションコンセプトを実践、指導することが今、求められていると痛感する次第で、本MIT-EFJは正にそれに貢献するものだと確信しています。

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