INTERVIEW

理事長就任インタビュー
新理事長・長谷川純一さん

顧客起点で考え抜き、問いで支える
新理事長・長谷川純一さんが語る、MIT-VFJのこれから

1999年の設立以来、日本における起業家支援の一翼を担ってきた日本MITベンチャーフォーラム(MIT-VFJ)。
2026年、その新たな理事長に就任したのが、Amazon日本法人の初代社長を務め、その後もPeopleSoft、Oracle、BasisTechなど、さまざまな企業や事業フェーズに関わってきた長谷川純一さんです。

今回のインタビューでは、Amazon立ち上げ期の経験から、起業家に求められる資質、そしてMIT-VFJがこれから目指す「起業家を支える人を育てる組織」への進化まで、幅広くお話を伺いました。

「常識」ではなく、顧客にとって何が価値かを考え抜く
Amazon日本法人の立ち上げで学んだこと

大野
長谷川さん、お忙しいところありがとうございます。
MIT-VFJ理事長就任、おめでとうございます。
長谷川さんと初めてお目にかかったのは、EYのアクセラプログラムEWWでしたね。
長谷川
そうですね。
伊藤由紀子さんがZEST Inc.を立ち上げた時のメンタリングでしたね。
大野
それから急速にご縁が深まり、今回理事長に就任していただくことになって、これからがとても楽しみです。
長谷川さんといえば、Amazon日本法人の初代社長として多くの挑戦を経験されてきたと思うのですが、今振り返って、あの経験が今の自分をつくったという出来事は何でしょうか。
長谷川
Amazonの立ち上げは2000年でしたが、当時はすでに紀伊國屋ブックストアやBOLなど、先行するオンライン書店がありました。
Amazonは出遅れていて、日本ではうまくいかないのではないか、という声もあったんです。

社内でも、アメリカの巨大で複雑なシステムをそのままグローバル展開するより、日本市場向けの新しいシステムを直ちに構築した方が早いのではないか、という意見がありました。
そうしたさまざまな憶測や通説、常識に惑わされずに、「本来どうあるべきか」を考え抜くことの大切さを、あの経験から学びました。

正解がない状況の中で、顧客にとって何が本当に価値なのかを考え抜く。
前例やその時点の常識ではなく、顧客体験を起点に判断する。
その姿勢は今でも自分の中に強く残っています。

もう一つ大きかったのは、ビジネスは一人ではできないということです。
優れたチームやパートナー、現場で働く人たちの力があって初めて、構想は現実になります。
顧客起点で考えることと、チームで成し遂げること。
この2つは、今でも自分の中でとても大きな軸です。

Amazonが日本で勝てた理由
“日本向けに作る”のではなく、グローバルの仕組みを持ち込んだ

大野
Amazonは私にとっても衝撃的でした。
最初は本屋さんだったわけですが、紀伊國屋書店などがオンライン展開していたのと比べて、Amazonが決定的に違ったのはどこだったのでしょうか。
長谷川
大きかったのは、Amazonがアメリカで培ってきたシステムを持ってきたことだと思います。
日本向けに一から作ったのではなく、1995年から5年かけて作り込んできたアメリカのAmazonの仕組みを、そのまま日本に展開した。
もちろん、当時のシステムは今のようにきれいに構造化されていたわけではなく、かなり複雑で、パッチワーク的な部分も多かったので、それを日本に持ち込むのは本当に大変でした。

でも、その仕組みがあったからこそ、アメリカのAmazonがすでに持っていた機能を、比較的早い段階で日本の顧客にも提供できたんです。
たとえばレコメンデーション機能ですね。
データが蓄積されないとすぐには動きませんが、11月1日に立ち上げて、翌年1月下旬ごろには「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といった機能が動き始めていました。
それから、グローバルな仕組みがあることで、顧客がウェブサイト上でどんな行動をしているのかも見えるようになっていました。
アナリティクスチームに依頼すると、どこで滞留が起きているのか、どこで迷っているのかがわかる。
そういう点も大きかったですね。
大野
なるほど。
Amazonの話ばかりで恐縮ですが、最初はなかなか黒字にならなかったと聞いています。
ずっと赤字でも続けてきたと聞いていますが、最初から織り込み済みだったんでしょうか。
長谷川
私は黒字化まで見届ける前に退任しているのですが、今振り返ると、Amazonのビジネスモデルは会計上の損益だけでは捉えにくいんです。
顧客からの入金タイミングとサプライヤーへの支払いタイミングの差によって、成長投資を続けやすい構造がありました。
ですから、単純に赤字だから危ない、という見方では理解しにくい会社だったと思います。

事業は「誰のどんな課題を解くのか」から始まる
技術や市場規模だけでは、ビジネスにはならない

大野
Amazonの話を伺っていると、次々と質問したくなってしまうのですが、Amazon、PeopleSoft、Oracle、BasisTechと、さまざまな企業や事業フェーズに関わってこられましたよね。
その経験を通じて、起業家や新規事業に向き合ううえで、一貫して大切にしてきたことは何ですか。
長谷川
一貫して大事にしているのは、「誰の、どの課題を、どう解いているのか」を曖昧にしないことですね。
それを常に頭の片隅に置いておくことです。

新しい事業を始めるときって、どうしても技術が面白いとか、アイデアが面白い、市場が大きそうだ、というところから話が進みがちです。
でも、それだけでは事業にはなりません。
最終的には、具体的な顧客がいて、その顧客が本当に何に困っているのか、既存の選択肢では十分に解決できていない課題は何か、そしてそれを自分たちが本当に満たせるのか、そこが重要なんです。

私は以前、「ニチメン(現 双日)」という総合商社で、MITのAI研究所で開発されたシンボリックスというAIワークステーションを扱っていました。
ところが、その会社は自分たちが最大の顧客だったんです。
MIT出身の社員が300人いて、その300人が全員、自社のワークステーションを使っていた。
つまり、顧客を理解するというより、MITの研究者の視点で会社のあり方を捉えていたんですね。

その結果、会社は倒産してしまいました。
それが、自分にとって大きな衝撃でした。
どれだけ良いものを作っても、顧客を理解し、顧客に寄り添わなければ事業としては成り立たない。
そのことを痛感して、私はMITのスローン・スクールで、マーケティングを含めてビジネスをきちんと学ぼうと思ったんです。

起業家に必要なのは「答え」ではなく、自分で決める軸
メンターは答えを与える人ではなく、問いを深める人

大野
まさにMITベンチャーフォーラムのメンタリングの肝ですね。
長谷川
そうだと思います。
もう一つ大事なのは、起業家自身が徹底的に自分で考え、自分で決めることです。
Amazonも、外からはいろいろ「遅い」「難しい」と言われていましたが、実際にはやってみたらすぐにナンバーワンになった。
外部からアドバイスを受けることは大事ですが、起業家の中に意思決定の軸がないと、結局は正しい判断ができません。

だから私自身、起業家や新規事業に向き合うときには、アドバイスはするけれど、答えを与えるのではなく、問いを一緒に深めたいと思っています。

もし今、Amazonをゼロから立ち上げるなら
2000年と今では、前提条件がまったく違う

大野
もし今の時代に、Amazonのような事業をゼロから立ち上げるとしたら、2000年当時と最も違う点は何だと思われますか。
長谷川
環境がまったく違いますね。
2000年当時は、インターネットといってもまだブロードバンドではなく、ISDNでゆっくりつないでいるような時代でした。
ユーザーによってはテキスト表示の方がいいという人もいたので、画面表示とは別にテキスト版の機能まで用意していたくらいです。

一方で今は、クラウドもあるし、AIもあるし、物流サービスも高度化している。
当時は、本が単品管理されていなかったんですよ。
今のようにQRコードでスキャンして在庫管理することも一般的ではなかった。
だから、倉庫で本を一冊ずつ管理して、「この商品はいつ届きます」と顧客に伝えること自体にも価値があったんです。
大野
単品管理されていない、というのはどういうことですか。
長谷川
本は返本率が40%くらいあるので、どの本がいつ戻ってくるのかもわからない。
だから当時の書店の在庫管理は、月に一度棚卸しするくらいの感覚でした。
単品管理された倉庫というのは、日本でもごく限られていたんです。
加えて、クレジットカード決済に抵抗感を持つ人も多かったので、最初は郵便為替でも支払えるようにしていました。

伸びる起業家に共通する3つの資質
学習速度、耳の痛いことを聞く力、人を巻き込む力

大野
さまざまな企業や起業家と関わってこられた中で、伸びる起業家に共通する資質は何だと思われますか。
長谷川
事前に質問をいただいていたので、3つ挙げたいと思います。

第一は、学習速度が速いことです。
最初から完璧な事業計画を持っている人はほとんどいません。
むしろ、顧客や市場からのフィードバックを受けて、仮説を修正し、行動を変え、また試す。
このサイクルをどれだけ早く、誠実に回せるかが重要です。

第二は、耳の痛いことをちゃんと聞けることです。
起業家には強い信念が必要ですが、同時に、自分の仮説が間違っている可能性を受け止める柔らかさも必要です。
信念と柔軟性、その両方を持てる人は強いですね。

第三は、人を巻き込む力です。
事業は顧客、社員、投資家、パートナーなど、多くの人を巻き込みながら進んでいきます。
伸びる起業家は、自分の構想を語るだけではなく、相手がその未来に参加したくなるような意味づけができる。
未来を示す力があるんです。
大野
まさに人間力ですね。
長谷川
そうですね。
加えて、未来を語る力、つまりビジョニングも大事だと思います。
ただし、それは自分の視点だけで語るのではなく、相手の立場から見た未来として描けることが大切だと思います。

理事長就任の理由
MIT-VFJが持つ「チームメンタリングの文化」を次につなぎたい

大野
今回、理事長を引き受けようと思われた理由を教えてください。
長谷川
日本MITベンチャーフォーラムは、1999年の設立以来、日本におけるアントレプレナーシップの醸成と起業家支援に取り組んできた団体です。
特にVMP(ベンチャー・メンタリング・プログラム)は、メンターがチームで起業家に向き合い、数カ月かけて事業計画や経営課題を深く議論していく。
これは本当に貴重な活動だと思っています。

一方で、今の日本では、起業家支援プログラムやアクセラレーターは25年前に比べて格段に増えました。
それ自体はとても良いことです。
ただ、プログラムの数が増えるだけでは十分ではありません。
起業家に本当に寄り添い、問いを立て、経験を押し付けずに中立的に支えるメンターの層を厚くしていく必要があると感じています。

MIT-VFJには、VMP、さらにはその前身であるBPCC(ビジネス・プランニング・クリニック&コンテスト)の時代から培ってきたチームメンタリングの知見があります。
献身的なメンターの方々がいて、しかも皆さんボランティアで関わっている。
さらに、BPCCやVMPを経験したファイナリストのネットワークもある。
こうした資産を次につなげる良いタイミングなのではないかと思い、自分にできることがあるなら貢献したいと考えて、お引き受けしました。

MIT-VFJの強みは「Give First」の文化にある
中立的な立場で、起業家の成長を支える

大野
MITベンチャーフォーラムの一番の強みは、どこにあると思われますか。
長谷川
やはり、チームで起業家に向き合うメンタリングの文化だと思います。
VMPはビジネスプランコンテストでもありますが、単純に優劣を競う場ではありません。
複数のメンターがそれぞれの経験や専門性を持ち寄り、起業家と対話を重ねながら、事業の前提条件や顧客理解、実行計画を磨いていくプロセスに特徴があります。

もう一つ大きいのは、ボランタリーで中立的な立場を大切にしていることです。
メンターは投資や営業を前提に関わるのではなく、あくまで起業家の成長を支援するために関わっている。
この距離感があるからこそ、起業家も安心してさまざまなことを相談できるのだと思います。
大野
ファイナリストの皆さんにインタビューすると、「他にはこういう場はない」とおっしゃる方が本当に多いんです。
長谷川
ブラッド・フェルドが言う “Give First” の精神ですね。
見返りを期待せず、まず与える。
その文化が自然に培われているのは、とても貴重なことだと思います。

起業家を育てるだけでは足りない
これから必要なのは、「起業家を支える人」を育てること

大野
MITベンチャーフォーラムを、起業家支援メンターを育てる中核的組織へと発展させたいと考えていらっしゃると思いますが、その背景にはどんな問題意識があるのでしょうか。
長谷川
日本のスタートアップ・エコシステムを育てるには、起業家を増やすだけでなく、起業家を支える人を増やすことが重要だと考えています。
もちろん、起業家支援のプログラム自体は増えていますし、他にも良い取り組みはあります。
ただ、起業家に向き合うメンターの質や姿勢が、体系的に育てられているかというと、まだ十分ではないと思うんです。

経験豊富な人が必ずしも良いメンターになれるわけではありません。
良いメンタリングには、問いを立てる力、起業家の話をきちんと聞く力、適切にフィードバックする力、利益相反への感度、起業家の意思決定を尊重する姿勢など、いくつもの要素が必要です。
そうした力は、自然に身につく部分もありますが、意識的に学び、実践し、振り返ることで高めていけるものだと思います。

MIT-VFJには、これまで起業家を支援してきた多くのメンターがいます。
その経験を生かしながら、起業家を支援できる人をさらに育てていく役割を担いたいと思っています。

メンターは「答えを出す人」ではない
アドバイザーやコンサルタントとの違い

大野
メンターやメンタリングという言葉の意味は、私たちにはわかっていても、世間一般には、アドバイザーやコンサルタントとどう違うのか、わかりにくいところもあると思います。
長谷川
メンターにもいろいろなスタイルがあると思いますが、もしメンタリングのゴールを、起業家がその後も自分で実行できる力を持つことだと考えるなら、良いメンターは、起業家の代わりに答えを出す人ではありません。
起業家自身がより良い意思決定をできるように、問いを立て、視点を提供し、ときには厳しいことも伝える人だと思います。

アドバイザーやコンサルタントは、専門知識に基づいて解決策を提示する役割が中心になることが多いですよね。
それが必要な場面ももちろんあります。
でも、メンターは起業家の意思決定プロセスや成長に寄り添う存在です。
自分ならこうする、という前に、この起業家は何を見ていて、何を見落としているのか、この事業の前提にどんな危うさがあるのか、起業家が自分で意思決定するためにどんな問いが必要か――そうしたことを考え、問いとして返していくのが大事だと思います。

また、メンターは経験や知識がある分、どうしても起業家を支配するような構図になりがちです。
でも、会社を経営しているのは起業家本人であり、その会社は起業家自身のものです。
メンターは導くことはしても、命令したり支配したりしてはいけない。
その距離感を保つことも、とても大切だと思います。

チームメンタリングの価値
複数の視点が、起業家にもメンターにも学びをもたらす

大野
MITベンチャーフォーラムではチームメンタリングも行っていますが、個人で行うメンタリングと比べて、どんな価値があるのでしょうか。
長谷川
個人でメンタリングをすると、どうしても一人のメンターの経験や価値観をベースにしがちです。
もちろん、一人で深く伴走する良さもありますし、メンティーが迷いにくいという面もあるかもしれません。
ただ、その一人の成功体験や専門分野に引っ張られてしまうこともあります。

その点、チームであれば、技術、事業開発、ファイナンス、組織づくり、マーケティングなど、さまざまな視点を持つ人が起業家に向き合うことができます。
起業家にとっては、複数の角度から自分の事業を見る機会になりますし、メンター同士にとっても学びの場になるんです。

MITのVenture Mentoring Service (VMS) でも、メンターたちは一つの案件を多様な専門家の視点で議論し合うことが、大きな学びになっていると聞きました。
それがあるからこそ、ボランティアでも関わり続ける動機になる。
私たちのチームメンタリングにも、かなり近いものがあると思っています。

日本のスタートアップ・エコシステムに必要なこと
「教える」だけでなく、「考え抜く力を引き出す」支援へ

大野
起業家を支える人を育てることが、日本のスタートアップ・エコシステムにどんな変化をもたらすと思われますか。
長谷川
エコシステムに厚みが出てくると思います。
起業家支援を一部の有名メンターや投資家だけに依存するのではなく、大学や自治体、企業、アクセラレーター、地域コミュニティなど、いろいろな場で起業家に寄り添える人が増えていくことが重要です。

日本では、起業家に対して「教える」「評価する」「指導する」という関わり方が強くなりがちですが、答えを与えることだけではなく、自分で考え抜く力を引き出すことが大事です。
良質なメンターが増えれば、起業家は安心して挑戦できるようになるし、失敗や迷いを相談できる場も増える。
仮説検証も深まり、孤立もしにくくなるでしょう。

すぐに成果が見えるものではないかもしれませんが、起業家を支える人を育てることは、日本のスタートアップ・エコシステムの土壌を耕すことだと思っています。
大野
MITのあるアメリカのケンブリッジ周辺では、そういう人たちが本当にたくさんいますよね。
日本はまだこれからでしょうか。
長谷川
そうですね。
アメリカでは、成功した起業家がエンジェル投資家として次の世代を支え、その支援を受けた人がまた次の世代を育てる、という循環が、4世代、5世代、6世代と続いていると思います。
日本は、まだ2世代から3世代くらいではないでしょうか。

ただ、成功した起業家がそのまま良いメンターになるとは限りません。
成功体験に引っ張られることもあるので、正しいメンタリングのあり方を一緒に学びながら、より良いメンターに近づいていってもらえればと思っています。

MIT-VFJが目指す5年後の姿
起業家と支援者が循環する場へ

大野
これから5年間で、MITベンチャーフォーラムをどのような組織へ進化させていきたいとお考えですか。
長谷川
繰り返しになりますが、起業家を育てるだけでなく、起業家支援メンターを育て、そのメンターを起業家とつなぎ、社会へ送り出していく組織へと進化していきたいと思っています。

VMPはこれからも中心的な活動であり続けるでしょうし、起業家に対してチームで深く向き合う場として、さらに磨いていきたい。
そのうえで、VMPを単独のプログラムとして捉えるのではなく、メンターが育ち、ファイナリストが次の支援者となり、会員やスポンサーも学び合い、外部の起業家支援機関ともつながっていく――そうした、より大きな循環の中に位置づけていきたいですね。
日本MITベンチャーフォーラムに関わってくださる皆さんには、起業家を支援する側としての経験や知見を、ぜひ次の世代へ手渡す活動に参加していただきたいと思っています。
大野
ぜひそういうエコシステムをつくっていきたいですね。
これまでを見ていると、意外とファイナリストとメンターとのつながりが薄いようにも感じるんです。
長谷川
そこは、これから強化していきたい部分ですね。
実は10月から、メンター育成プログラムを始める予定で、月2回程度を3カ月、全6回ほどのコンテンツを準備しています。
ぜひ、ファイナリストの皆さんにも参加していただきたいと思っています。
今年は難しくても、来年、再来年と、タイミングが合うときに関わっていただけたらうれしいですね。

最後に
起業家にも、支える人にも、それぞれの役割がある

大野
最後に、起業家を目指す方へ、そして起業家を支える方へ、それぞれひと言ずつメッセージをお願いします。
長谷川
まず、起業家を目指す方へ。
最初から完璧な答えを持っている必要はありません。
大切なのは、社会の課題や「何かおかしい」という違和感を大事にして、それに向き合いながら学び続けることだと思います。
事業は仮説から始まります。
迷うことも、修正することも、失敗することも、すべて起業のプロセスの一部です。
ぜひ、自分自身の問いを大切にしながら、周囲の力も借りて挑戦を続けてほしいと思います。

一方で、起業家を支える方には、自分の経験を押し付けるのではなく、起業家の可能性を引き出す存在であってほしいと思います。
経験豊富な方ほど、つい答えを言いたくなってしまうものですが、良いメンターの役割は、起業家が自分で考え、自分で決め、前に進む力を育むことにあります。

起業家も、起業家を支える人も、どちらもエコシステムにとって欠かせない担い手です。
日本MITベンチャーフォーラムが、その両方が育ち合う場でありたいと思っています。
大野
ありがとうございます。
長谷川さんのお話は本当に説得力があって、しかもとてもクリアでわかりやすいですね。
今日はこうしてインタビューという形でお話を伺いましたが、ぜひ今後は、長谷川さんご自身が皆さんに向けて直接お話しされる場もつくっていただきたいです。
長谷川
ありがとうございます。
私もできることをしていきたいと思います。
大野
私は理事を退任しましたが、これからも一人のシンパとして見守りながら、協力できることがあればぜひお手伝いしたいと思っています。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
本日はお忙しい中、ありがとうございました。
長谷川
こちらこそ、ありがとうございました。

長谷川純一 氏 プロフィール

ベイシステック合同会社職務執行者。東工大卒業後、総合商社にて13年間、AI、CG、開発ツール等の新規事業を担当。1996年、PeopleSoft日本法人の設立メンバー。 2000年、アマゾンジャパンの社長に就任し同サービスを立ち上げる。2002年、PeopleSoftに復帰し、同社がOracleの傘下に入って以降、日本オラクルの執行役員を務める。2017年、途上国向けのFinTechを共同設立。2018年末よりBasisTechの日本法人代表。2022年末の自然言語処理事業の売却後は、日米のスタートアップ支援に従事。MITスローンスクール経営科学修士。法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科兼任講師。

聞き手 大野一美

MIT-VFJ サポーター、スポンサー、メンター、元事務局長、元理事。

MIT-VFJ前身の日本MITエンタープライズフォーラム設立メンバーの一人。

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